novel 従順な子猫 前編



「貞治あんた本当に中学生??」
「なんで今更・・・証拠に学生証でも見せようか?」
「止めてよ〜そんなの見たら・・・私完全に犯罪者の気分になるじゃない。」
「あははは〜りっぱな犯罪でしょう・・・未成年・・」
「言わないで〜〜あんたの見た目に騙された・・・」
乾は女と事を済ませた後タバコを吸う女からそのタバコを貰い上手そうに吸った。
「どうするの?今日は・・・・」
「うん、帰るよ!家では優等生だからね〜」
「貞治見てると・・・・両親が可哀想だわ・・・騙されて・・」
「家は放任主義!!それに俺信用されているから。」
ベッドから起き上がるとタバコを女に渡し乾は帰り支度を始めた。
女はそのままベッドの中で手を振っていた。

自宅マンションの前まで帰って来た時・・・その前に見慣れた人影を見つけた。
乾にはその影が誰か直ぐに分かった。
でも乾は気づかない振りをしてそのまま通り過ぎようとしたが。
「待って下さい・・」
「・・・・・」
「乾先輩」
乾に声をかけマンション前で待っていたのは乾の一つ年下の後輩海堂だった。
「また、来たのか・・・心配するな、この間の事は誰にも言わない。」
「違う・・・違うんです。」
「何が?桃城との事はお前たち二人の問題だろ?」
乾が桃城の事を持ち出すと海堂は必ず悲しい顔をした。
乾にはそれが何故かわからない・・・
思い起こせば海堂が乾に近寄り出したのは・・・桃城と海堂が部室でキスをしていたのを見てからだった。

いつもより早く目が覚めて乾は少し早く部室に着いた。
正確には部室前に到着しただが・・・。
ドアを開けようとノブを握った瞬間手が止まった。
中から声がした・・・耳を澄ましてみると中にいるのは一人ではない事が分かった。
乾の事だから直ぐに海堂と桃城だと分かった。
暫く入るのが遅くなったが乾は構わずドアを開けた。
開けた瞬間目に飛び込んで来たのは・・・桃城が海堂を押し倒してキスをしていた。
海堂も嫌がっている素振りはなく・・・桃城の肩に手が回っているのが見えた。
「そろそろ時間なんだが・・・後は違う所でやってくれないか?」
その声に驚いた二人は真っ赤な顔になって・・・・桃城は乾に急いで挨拶をして部室を出て行った。
海堂はただ乾を見詰めた。
「桃城は越前だと思っていたのだが・・・データ書き直しだな・・・」
「乾先輩。」
「海堂、おはよう・・・言わないから心配するな。」
「何も思わないッスか?」
海堂がなんでこんな事を聞いてくるのか乾には理解出来なかった。
「恋愛は自由だからね。」
「・・・・・自由ですか・・・」
着替え終わった乾が何気なくそのまま部室を出ようとした時だった。
急に腕を引っ張られ体勢を崩し・・・そして背中に暖かい人の体温が感じられた。
「何のつもりだ?俺も巻き込んで口止めか?」
「っち・・・違う・・・」
乾は海堂を振り切って部室を出た。

それが四日前・・・・
それから海堂は何故か乾のマンション前に現れるようになった。
「ちゃんと話を聞いて欲しいッス!」
練習以外に必死になった海堂の顔を見て乾は根負けをしてしまい、海堂を自宅に招く。
「話を聞くから・・・」
乾ははっきりいって戸惑っていた。
ホモの痴話喧嘩に巻き込まれたら迷惑だと。

「これ飲んで。」
乾は海堂に飲み物を渡して自分は缶ビールを片手に海堂の前に座った。
「ビール・・・飲むんですか・・」
「あぁ、家ではだいたいこれ飲んでる。話しあるんだろ早く話したら?」
乾は少し冷たく海堂に話しかける。
海堂はビクっと体を震わせて渡された飲み物に口を付け、やっと話しをし始めた。
「桃城は・・・越前ですから・・・オレじゃありません。」
「そうか、やっぱり越前か・・・俺のデータは嘘じゃなかったんだな・・・じゃ、海堂は浮気相手って事か?」
「違います!オレにも好きな人はいます。」
思わず出た言葉に海堂自身が驚いてしまい顔がみるみる赤くなる。
「へぇ〜そうか・・・お前達凄いな・・・お互い好きなヤツがいるのにあんな濃厚なキスするんだ〜以外だったよ。」
ビールを飲みながら海堂を見たら海堂は目に涙を浮かべていた。 乾には訳が分からない。
桃城とキスをしてでもそれはお互い好きでもなくて・・・・
「あの日・・・偶然乾先輩が早く来るのが見えたんです・・・桃城はオレの好きな人知ってるから・・・試したんです。」
「ちょっと待て・・その話から行くと・・・お前の好きなって・・」
「乾先輩!!オレ・・」
海堂は今まで我慢していた分気持ちが抑えられなくなってしまった。
「乾先輩・・・好き・・・」
確かに海堂は後輩の中では一番仲がいい。
メニューも作った・・・ダブルスも組んだ・・・でもそれは乾にとって自然な事であって。
海堂がその間に乾に恋心を抱いていたなんてさすがに気づいていなかった。
「オレだけにメニューも作ってくれたし・・・オレだけと自主トレしてくれた・・先輩もオレの事好きだと・・・思って・・・でもそれ以上に進まないし・・・桃城につい漏らしてしまったッス。」
「だから・・・この間みたいな事になったのか?」
ウンと頷いて海堂は涙を流して乾を見詰めた。
「桃城の事だ・・・ああやって俺の反応を見たら分かるって言われてか?」
「ッス」 純粋もここまで来たら馬鹿だと乾は思ったがあえてそれ以上言わなかった。
「だいたい話が分かって来た。悪いが俺は男には興味がない!」
乾は海堂の為いいや自分の為にきっぱりと言い切った。
今日も女の所から帰って来て気分が良かったのに・・・海堂の出現で気分が悪くなってしなった。
「悪いが・・・」
「オレ諦めません・・・初めて好きになったんです・・・全て乾先輩にあげてもいいぐらいに!!」
海堂は必死だった・・・。乾に自分の気持がバレてしまったらもう自分の気持が抑えられなくなってしまった。
「全てって・・・」
「どうしたら・・・オレの事見てくれます?」
海堂がすがり付いて乾を見詰める・・・・こんな時乾は悪い癖が出てしまう。
そんな気もないくせについ言ってしまった。
「俺・・・Hが好きな子がいいかな〜これ見て・・・」
乾は首筋を海堂に見せた・・・そこにはさっきまで女と情事を重ねた痕が残っている。キスマークがあった。
「これ・・・先輩・・」
「俺って性欲強いからね〜これくらいしてくれないと。」
意地悪っぽく笑って海堂を見下ろして見たら海堂は困った顔をしておどおどしていた。
さすがに乾もこれで諦めると思っていたが。
答えは意外な答えが返って来た。
「乾先輩が相手してくれるなら・・・オレ・・・大丈夫です。」
何が大丈夫なんだ??海堂を見たら目は本気だった。
「ごめん!今の事は忘れて・・・俺も言いすぎた。海堂の気持ちは分かったから今日は帰ってくれないか?」
「はい・・・・」
海堂は大人しくなって乾宅を後にした。
2本目のビールを一気に飲み干した。
今まで自分有利な恋愛しかしなかった乾に突然海堂は風を吹き込んだ。
「はぁ〜面倒な事になって来たな・・・」

海堂は乾に気持ちがバレてしまいこれからどうしていいのか考えこんだ。
今の仲のいい先輩後輩状態も崩したくない。
桃城とキスをしている所を見られてしまい・・・それはあえて乾に見せたのだが乾は表情を変えなかった。
その時乾の気持ちを知った。
乾が優しかったのは後輩だったから・・・でも誤解されたままでは自分が辛い。
海堂は意を決して乾にちゃんと思いを伝える事を決めた。
そして海堂は打ちのめされて帰ってきたのでる。
きっぱりと言われてしまった。男には興味がないと・・・
頭では分かっているのに・・・心がまだ乾を求めていた。






思ったより長くなってしまい・・・
後編に続きます。後編も書き上げてますので直ぐにU出来る かと思います。
こんな話ですが・・・楽しんで頂けたでしょうか?
心配です。
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